3兄弟の賢い末っ子、メロディックマイナースケール
4月ですね。
春になってまた新しい1年の始まりですね。
自分も新しいサイクルが始まった気がしています。
巡り巡って、また新しい始まりの季節がやってきました。
マイナースケール編も3兄弟の三男の登場となります。
さぁ、今日もスケールの勉強を進めていきましょう。
おませなハイブリッドの三男、メロディックマイナースケール
気取らなさが魅力の長男ナチュラルマイナースケール。
頼りない兄の恋の行方を心配して、劇的に告白したらどうかと持ちかける個性派の熱血漢の次男ハーモニックマイナースケール。
でも、それぞれにそれぞれの性格があるように、「いやぁ~、ハーモニックの言うことももっともなんだけど、俺にはなんかしっくりこないんだよなぁ。」と、ナチュラル兄さんはいまひとつ乗り気でないようです。
ハ「そっかぁ~。まぁ、そうだよなぁ~。ナチュラル兄ちゃんがドラマチックにっていうのもなんか不自然だしなぁ~。」
ナ「だろ~。なんかこう、意識しちゃうとギクシャクしちゃってなぁ。」
ハ「練習中に言葉に詰まったり、声が裏返ったりしてたもんね。」
メジャー(以下M)「ナチュラルには向いてないのかもな。」
ナ「でも、いつかはバシッと決めないといけないよなぁ。」
ハ「ナチュラル兄ちゃんでもバシッと決める方法かぁ~、なんかないかなぁ~。」
そこへやってきた末っ子のメロディックマイナースケールが言いました。
メロ「ドラマチックに告白しなくてもいいんじゃない? 深刻になりすぎずにさらっと言ってみたらどう?」
ナ「おぉ~! メロディック、さすが幼馴染の彼女がいるだけはあるな!」
ハ「お前、本当に俺の弟か!? 発言が一番大人じゃないか!!」
メロ「だてに彼女ちゃんと長い付き合いじゃないからね。」
ナ「弟達よ、俺の知らない間に立派に成長してたんだなぁ。兄ちゃんは嬉しいよ。」
ハ「ダァ~! またそこで涙ぐまなくって良いって!」
メロ「ナチュラル兄ちゃんって本当にお人好しだよねぇ。」
ハ「お前も人のこと言えんだろ? この前もさ…」
メロ「わぁ~わぁ~、言うな~バカ兄貴~! 」
ハ「いてて、いてて! 叩くなって! ナチュラル兄ちゃん、メロディックを止めてくれよ!」
ナ「喧嘩するほど仲が良いって言うよな♪」
メロ「だ、だ、誰がこんなバカ兄貴と!?」
ハ「イタタタ! お前、照れ隠しに力込めんなよ~!」
メロ「照れてなんかない~!!」
ナ「はいはい♪」
メジャーさんはそんな3兄弟を見て、またやってるよと微笑ましく思うと同時に、「俺も兄弟がいたらこんな感じだったのかな?」と、ちょっと羨ましさも感じるのでありました。
メ「メジャーあんちゃんも何か言ってやってよ~!」
M「はいはい。」
そんなこんなで、メジャースケールとマイナースケール3兄弟は幼い頃からずっと一緒なのでした。
M「で、メロディック、何か良いアイデアでもあるのか?」
メロ「俺末っ子じゃん? 俺はずっと二人の兄ちゃんを見てきて、それぞれの良いところと苦手なところを知ってるんだ。」
ハ「俺の情熱的なところとかな!」
メロ「うっさい!」
ナ「ふむふむ、それで?」
メロ「でさ、ドラマチックに行くには5-7-2のコードが大事でしょ?」
(なんのこと?とお思いの方はこちらをご参照ください。
→「個性的な熱血漢の次男、ハーモニックマイナースケール」)
ナ「みたいだな。でも俺は1-2-b3-4-5-b6-b7-1だから、コードが5-b7-2になっちゃうんだよな。」
ハ「そこで、俺の出番だな! 俺は1-2-b3-4-5-b6-7-1だから、5-7-2のコードが使えるんだぜ。ナチュラル兄ちゃんに俺みたいにやってみなって言ったんだけどさ。」
ナ「いやぁ~頑張ってるんだけど、どうもb6-7ってところで言葉がうまく繋がらなくてぎこちなくなっちゃうんだよ。」
メロ「でしょ? そこで提案なんだけど、そのb6を半音上げて6にしてみたらどうかなって♪ そうすれば、ハーモニック兄ちゃんみたいに5-7-2のコードは使えるままで、b6-7が6-7になって言葉もうまくつながるんじゃない?」
ハ「1-2-b3-4-5-6-7-1ってことか」
ナ「それって、まさに…」
メロ「そう、この俺、メロディックマイナースケール!!」
ナ「俺のb6とb7を半音ずつあげるってことだな。」
ハ「俺からはb6を半音あげるんだな。」
ナ「すごいな! まさにハイブリッドだな! 末っ子ならではの技だな!」
メロ「えっへん!」(得意気)
ハ「でもさ、これってメジャーあんちゃんにも似てない?」
M「俺は1-2-3-4-5-6-7-1だから俺との違いは3がフラットしてるかしてないかってところだな。」
メロ「うん、実はそうなんだよね。b3以外はメジャーあんちゃんと一緒だから、一度b3よりも上昇したら、またb3に降りてくるまでマイナーな感じがしないんだよね。」
ハ「まだまだお子ちゃまだな。」
メロ「うっさい! だからさ、俺は降りてくる時はナチュラル兄ちゃんを見習ってb6とb7を使うようにしたんだ。1-2-b3-4-5-6-7-1-b7-b6-5-4-b3-2-1ってね。」
ハ「マジでハイブリッドじゃん!」
メロ「そう、俺は上昇時と下降時で音使いを変えることで、メジャーあんちゃんやハーモニック兄ちゃんと同じように5-7-2のコードを使いつつ、下降時にはナチュラル兄ちゃんみたいな自然なマイナー感を出せるようにしたんだ。」
ナ「やるなぁ! よく考えついたな! 凄いぞ!」
メロ「いや、まぁ、兄ちゃん達みたいになりたかったしさ、メジャーあんちゃんも兄弟みたいなもんだしさ…、みんなを見てたらなんとなくできたっていうか…。」
ハ「ヒュ~ヒュ~!照れるなよ~!」
メロ「うっさい!」
ナ「よし、お前達のアドバイスで俺もなんとかできるような気がしてきたよ。俺も頑張って想いを伝えるぞ~!」
ハ&メロ「おぉ~!!」
仲睦まじいマイナー3兄弟にちょっとした憧れのようなものを感じていたメジャーさん、メロディックマイナースケールの発言に「俺も兄弟みたいなものなのか…なんかいいもんだな」と思うのでありました。
…と、おなじみの脱線寸劇で始まったメロディックマイナースケールのお話ですが、この三男のメロディックマイナースケールはちょっと変わったスケールでして、上昇時と下降時で使う音が違う珍しいスケールなんです。
ハーモニックマイナースケールと同様に7番目の音がナチュラルのため、5の音の上に成り立つコードが5-7-2となって解決感のあるコード進行を作ることができます。
そのコード進行を使えるようにしておきながら、ハーモニックマイナースケールではb6と7の音程が1音半と開いていてメロディーがスムーズに繋がらないところを、b6を半音上げて6として5-6-7とメロディーがスムーズに繋がるようにと生み出されたスケールがメロディックマイナースケールです。
上昇時にはマイナーらしさの鍵となるb3を経過するので、6と7がナチュラルでもマイナースケールとしてはそんなに違和感はありません。
しかし、6と7がナチュラルのままだと下降時にb3にたどり着くまでメジャースケールと同じ音使いとなるので、マイナー感が希薄になってしまいます。
ですので、下降時には6と7をフラットさせてb6とb7としてマイナー感を保つようにしてあります。
ナチュラルマイナースケールやハーモニックマイナースケールに比べると、(上昇時に)メジャースケールっぽい雰囲気を持ったマイナースケールになります。
それでは、今日のポイントをまとめてみましょう。
●メロディックマイナースケールの音の並びは上昇形と下降形で異なり、
(上昇)1-2-b3-4-5-6-7-1
(下降)1-b7-b6-5-4-b3-2-1
●下降形はナチュラルマイナースケールと同じ
●ハーモニックマイナースケール中の音の跳躍を抑えて、メロディーを滑らかに繋げるように生まれたマイナースケール
マイナースケール3兄弟もついに3男の登場となり、兄弟全員が出揃いました。
ちょっと並べて見比べてみましょう。
ナチュラルマイナースケール、ハーモニックマイナースケール、メロディックマイナースケール(上昇形)となるにつれて、メジャースケールに近づいていくのがわかりますね。
この3兄弟に共通していて、かつメジャースケールと違うのは3の音がb3だという点です。
この3の音がナチュラルかフラットか、つまり長3度(メジャー3rd)か短3度(マイナー3rd)かというところが、メジャースケールとマイナースケールの違いとなり、今後多数出てくるスケールのメジャー系かマイナー系かという見分け方になってきます。
次回はメロディックマイナースケールの指板上の音の並びを見ていきましょう。
それでは、今日はこの辺で。
また次回のトピックでお会いしましょう。
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