ハーモニックマイナースケールの四和音
メジャースケール、ナチュラルマイナースケールとやってきた四和音ダイアトニックコードの解説、今回はハーモニックマイナースケールの4和音ダイアトニックコードを取り上げたいと思います。
【今回のポイント】
●ナチュラルマイナースケール内の四和音
●ナチュラルマイナーケールとの共通性
●各コードの機能
ハーモニックマイナースケールから生まれる四和音
ハーモニックマイナースケールの音の並びはこのようになっています。
1 – 2 – b3 – 4 – 5 – b6 – 7
これはナチュラルマイナースケールの7番目の音であるb7を半音上げてナチュラル7thにしたものでした。
ナチュラルマイナースケールではVのダイアトニックコードがマイナー/マイナー7thで、Imに解決する時(Vm-Im)の解決感が弱いのが難点でした。
そこで、Vm/Vm7の3度となる音を半音上げることにしました。
スケールの構成音でいうとVm(5-b7-2)/Vm7(5-b7-2-4)がV(5-7-2)/V7(5-7-2-4)になりました。
そうすることによって、マイナーの曲の中でもV7-Imという力強い進行が使えるようになりました。
ナチュラルマイナースケールのハーモニーの弱点を補ったのがハーモニックマイナースケールということですね。
この7つのコードがハーモニックマイナースケールのダイアトニックコード(四和音) になります。
ナチュラルマイナースケールとの違い
ハーモニックマイナースケールとナチュラルマイナースケールの違いは7の音がフラットかナチュラルかという一点です。
なので、7の音が含まれているコードがナチュラルマイナーとは違ってきます。
反対の言い方をすると、7の音が含まれていないコードはナチュラルマイナースケールと共通ということになります。
それでは、7の音が含まれているコードと含まれていないコードを分類してみましょう。
【7の音が含まれていないコード】
IIm7b5 (2-4-b6-1)
IVm7 (4-b6-1-b3)
bVIMaj7 (b6-1-b3-5)
これらのコードがナチュラルマイナースケールと共通しているハーモニックマイナースケールのドミナントコードになります。
ということで、残りのI、bIII、V、bVIIのコードを把握することが鍵になってきます。
【7の音が含まれているコード】
ImM7 (1-b3-5-7)
bIIIMaj7#5 (b3-5-7-2)
V7 (5-7-2-4)
VIIdim7 (7-2-4-b6)
聴きなれないコードが出てきましたね。
次に、これらのコードを見ていきましょう。
ハーモニックマイナースケールの特徴的なコード
ImM7(トニック)
なんとも聴き慣れない名前のコードですが、マイナーメジャーセブンスコードといいます。
構成音は「R-b3-P5-7」です。
マイナー? メジャー? なんじゃそりゃ?って感じで、マイナーなのかメジャーなのか謎な名前に聞こえますが、こうやって名前を分けてみると分かりやすくなります。
マイナー|メジャー7thコード
三和音の部分がマイナーコードで、そこにルートから見て長7度(メジャー7th)の音が加わったコードがマイナーメジャー7thコードです。
一例ですけど、コードフォームはこのような感じになります。
マイナー7thコードの7thが半音上がったものですね。
使用頻度はそれほど高くはありません。
bIIIMaj7(#5)(トニックグループ)
メジャーセブンスシャープファイブコードと読みます。
このコードはメジャー7thの5度の音が半音上がったものです。
構成音は「R-3-#5-7」です。
ナチュラルマイナースケールのbIII上にできるコードはメジャー7thコードで、スケールから見た構成音はb3-5-b7-2となります。
ハーモニックマイナースケールでは7の音がナチュラルになるので、bIII上にできるコードがb3-5-7-2となって、コードの構成音の5度が半音上がるのでこのようなコードになります。
こちらのコードも使用頻度は高くないです。
V7(ドミナント)
すっかり見慣れたドミナント7thコードです。
構成音は「R-3-5-b7」です。
ナチュラルマイナースケールのV上にできるコードは「5-b7-2-4」のマイナー7thコードですが、ハーモニックマイナースケールでは7がナチュラルになるので「5-7-2-4」になります。
コードの構成音はナチュラルマイナースケールの「R-b3-5-b7」から「R-3-5-b7」となり、ドミナント7thコードになります。
おさらいになりますが、CAGEDの型で確認してみましょう。
ドミナント7thコードは使用頻度がとても高くて、色々な場面で使われるコードですね。
VIIdim7(ドミナントグループ)
ディミニッシュセブンスコードと読みます。
構成音は「R-b3-b5-bb7」です。
ディミニッシュと省略して呼ばれることもありますが、その際には三和音のディミニッシュ(トライアド)コード/マイナーb5(構成音はR-b3-b5)と混同しやすいので、区別しておくと良いです。
ディミニッシュトライアドを含む四和音ではマイナー7(b5)(構成音:R-b3-b5-b7)がありますが、7度の音を半音下げて短7度(マイナー7th)から減7度(ディミニッシュ7th)とすることで、ディミニッシュ7thコードとなります。
bb7を6と解釈することもあるようです。
コードフォームはこのようになります。
このコードはとても特徴があるコードで、R-b3、b3-b5、b5-bb7、bb7-Rのそれぞれの構成音の間隔がどれも短3度なので、転回しても同じコードフォームで押さえられます。
3フレットずつ平行移動させるのはディミニッシュ7thコードをギターで使う際の定番的なフレーズになっていますね。(今では使い古されているので、古っ!となってしまうかもしれませんが)
余談ですけど、構成音が同じなのでこのような法則が成り立ちます。
●Cdim7=Ebdim7=Gbdim7=Bbbdim7(Adim7)
●C#dim7=Edim7=Gdim7=Bbdim7
●Ddim7=Fdim7=Abdim7=Bdim7
ディミニッシュ7thコードはとても使い勝手の良いコードで、代理コードやパッシングコードなど色々な場面で使われます。
まとめ
ハーモニックマイナースケールのダイアトニックコード四和音をまとめると、このようになります。
Iマイナーメジャー7th トニック
IIマイナー7th(b5) (サブドミナントグループ)
bIIIメジャー7th(#5) (トニックグループ)
IVマイナー7th サブドミナント
Vドミナント7th ドミナント
bVIメジャー7th (サブドミナントグループ)
VIIディミニッシュ7th (ドミナントグループ)
全てのコードを丸暗記するのは大変ですけど、ImM7、bIIIMaj7(#5)、V7、VIIdim7の四つを覚えて、あとはナチュラルマイナーと同じと頭の中で整理しておくと楽になると思います。
ディミニッシュ7thコードはハーモニックマイナースケールの中でも特に特徴的なコードなので、ハーモニックマイナースケールと言ったらV7コードとVIIdim7という感じで覚えていただけたらと思います。
今回はハーモニックマイナースケールのダイアトニックコード四和音のお話でした。
次回は、3番目のマイナースケールのメロディックマイナースケールのダイアトニックコード四和音となります。
マイナーの曲のコード進行に強くなるためにも、ぜひお見逃しなく。
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